終わりの始まり 

 

 俺は今、学校の屋上にいる。

何をしているかって。

人待ちだよ、まったく。いつも俺が、待たされ役でな。

今日ここで、大切な人と一緒に、弁当を食べる約束をしていた。

まさか、こんな事になるとは予想もしていなかった。

「もう、この景色ともお別れか・・・」

そう、呟く。

 

サクラの花は未だ、咲いていない。

 

刻一刻と迫りつつある終わりの時。

 

俺は、前から決めていた。俺の物語の始まりの場所で、終わらせたいと。

 

コツン、コツン。という階段を上がる音が聞こえる。

「おい、少し遅いぞ」

 

この日、この時、俺の物語は、終わりを告げた。

 

そう、あの時も俺は、屋上からの景色を眺めていた。

 

 

 

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